花子とアン メモ

 
 「花子とアン」 史実に基づいて補足しておきたい。

 震災で、夫の印刷会社を失った村岡花子
 テレビでは、嘉納伝助が援助してくれたことになっているが、
 勿論そんなことはない。
 多額な負債を背負ったところで、長男道雄を失う。

 史実に基づけば、彼女は数ヶ月悲嘆にくれていたそうだ。

 その落ち込みがあまりにもひどいので、
 彼女に日本の近代文学の素晴らしさを教えた
 盟友片山廣子が「王子と乞食」を花子に渡す。

 テレビではどうしても家族愛を描く必要がでてくるが、
 実際の村岡花子
 ずっと東洋英和の仲間に支えられてやっていた。
 彼女は、この本を読んで奮起する。
 マーク・トゥエインに救われる。

「自分は子供を失ったが、
 日本中の子供たちに上質な家庭文学の翻訳を広めたい」

 ここから村岡花子の快進撃がはじまる。

 彼女には夢が、あった。

 お世話になった東洋英和の先生たちが生まれ育った
 カナダの物語を翻訳すること。
 この夢を抱いた時期と、日本が戦争へとひた走る時代が重なった。

 銀座教文館でいっしょに働いていた宣教師から
 受けとった「赤毛のアン
 戦火での翻訳は、敵視される母校教師たちへの
 「友情の証」だったとも言われている。

 最終回に向けて、「花子とアン」は、
 軍靴とペンを走らせる音が重なる中で、
 書斎と防空壕を原稿用紙が行ったりきたりする様を
 描くようになるに違いない。

 「女子どもの感傷性」と踏みつぶされることにめげす、
 「想像の翼」を武器に、万年筆をひた走らせる姿を
  最後まで楽しみたいと思っている。
 
 「最上のものは、過去にあるのではなく、
 将来にあります。
 旅路の最後まで希望と理想を
 持ち続けて進んでいくものであってください」

 ミス・ブラックモア 卒業式式辞より

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もう一度、書いておきます。
 
 今から15年後、20年後、30年ののち
 あなたがたが今日この時代を思い返して、
 なおかつ、あの時分が一番楽しかった、
 一番幸福だった、と心底から思うような
 ことが、もしあるとすれば、
 私はそれをこの学校の教育の失敗だと
 言わなければなりません。
 
 人生は、進歩です。
 
 今日は昨日よりも良く、明日は今日よりも
 優れた生活へと、たえず前進していくのが 
 真実の生き方です。
 
 若い時代は準備のときであり、
 その準備の種類によって、
 次の中年時代、老年時代が
 作られていきます。
 
 最上なるものは、過去にあるのではなく、
 将来にあります。
 旅路の最後まで希望と理想を持ち続けて
 進んで行くものであってください。
 
 これがミス ブラックモアがドラマでも
 史実でも花子たちに語った式辞です。
 
 私は、まるまる写して手帳に書きました。
 人生は、進歩なのだ。