目を離さないことだ

録画しても見たい小池都知事

「日本初の女性リーダー」の現実

2016年10月28日(金)

ご相談

勤務先で部長職を任されることになりました。責任の重さを感じつつ、自分なりに頑張ってきたことが認められたことを、素直にうれしく思っています。「女性活用優先のご時世、とにかくオンナを昇進させとけ、ってことだろ?」などという声も耳に入ってきますが、気にしても仕方がないので、とにかくできることをしっかりやっていこうと気を引き締めています。ひとつ不安なのは、目指すべきモデルが見えないこと。これまでの上司は男性ばかり。尊敬していた女性の先輩は退職してしまい…。性別に関係なくやるべきことを全力で、と思いながら、何かと男性中心で動いている会社の仕組みはいかんともしがたいところ。試行錯誤が続くと思いますが、すべて貴重な経験と考えて取り組んでいきます。相談と言うより決意表明になってしまいましたが、ご容赦ください。(40代女性)

(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

遙から

 最近、ニュースを何本も録画して見ている。目的は小池百合子東京都知事の今日を知りたいからだ。

日本は最下位クラスを維持

 仕事で、ではなく個人的にどうしても気になる。見ずにはいられない。政治家に対してこういった感情を持ったのは生まれて初めてで、自分でも驚いている。

 私が見たいのは小池氏のファッションでも視察光景でもない。彼女の"戦略"だ。

 現在の日本は、意思決定層にいる女性の少なさに関して先進国最下位クラスを維持している。

 昨今、各所で女性リーダーが誕生しているからといって女性の時代というにはほど遠いことは、データが示している。

 先日、世界経済フォーラムから発表された各国の「男女平等の度合い」を示す「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は144カ国中、111位で過去最低だった。「政治」に関しては103位で、前回が104位、その前が129位。順位的には上がってはいるものの、その低迷ぶりは明らかだ。

 そんな中、登場したのが小池百合子氏である。

 政党のトップでは、社会党土井たか子氏、社民党福島瑞穂氏らがいて、最近では民進党蓮舫氏が注目を集めているが、いずれも野党。もちろん野党には野党の存在意義があって、重い責任を担っているが、大混乱の中で現実に政策を実行する人として小池さんは違う光を放っている。

 権力に寄り添う女性や、権力に手も足も出ない女性や、権力に打ち破れた女性がいる中、権力と戦ってリーダーになった女性、という意味では、私たちは日本史上初めての女性リーダーを目の当たりにしている可能性がある。ここに学ばなくていつ学ぶ、だ。