選挙

これは良記事だわ

明日は高知県の知事選

知事選を前に読めてよかった!!

官僚上がりの現知事から、また官僚上がりを選ぶのか
野党共闘で戦う、35歳の若い挑戦者にエールを送ってるようにも取れる。
襲え開く低投票率何だろうなぁ

選挙に行かない人が文句言うなよって思うんだけど。。。
選挙に行こうよ〜〜〜

以下、高知新聞より



2019.11.22 08:55

橋本大二郎前知事に聞く 国施策で地方「金太郎飴」 違う方向目指す意識を

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高知県の居を離れて久しい。尾﨑正直県政の情報は特に持ち合わせていないようだった。「それで知事選、どういう状況ですか?」と橋本大二郎さん(19日午後、都内の喫茶店)
高知県の居を離れて久しい。尾﨑正直県政の情報は特に持ち合わせていないようだった。「それで知事選、どういう状況ですか?」と橋本大二郎さん(19日午後、都内の喫茶店
 例えば今の地方に求められるリーダー像とは。国と地方のあるべき関係は? 高知県知事選挙の投開票を前に、誰に聞けばいいかと頭を巡らせ、やはりこの人にしようと考えた。高知県前知事の橋本大二郎さん(72)。都内の待ち合わせの喫茶店にコートを着て一人で歩いてきた。“元スター知事”は何を語るのだろう。

□リーダー論
 ―現代には、どんな能力のリーダーが求められているか。

 一番は災害時の危機管理能力だ。地球温暖化のせいかどうか分からないが、気象が異常。他県の話だが、台風15号の際の千葉県の知事さんの反応と動きを見ていると、自分たちが選んだリーダーのリスク管理意識で、どれだけ地域の災害の影響が違ってくるかが明らか。

 ―組織の長として特に必要なことは。

 上に立つ者は自分の考え方と、それを実行するための手法、取り組み方を下の者にきちっと説明して理解してもらう。2、3割が理解してくれれば組織は動く。そう努めるのがリーダーだ。

□国への問題提起
 ―橋本さんは国に対して数々の問題提起をし、驚かされることが多かった。例えば減反の撤退宣言。県として米の生産調整に協力しないと宣言した。

 あれから20年たって、昨年にようやく国は減反政策に終止符を打った。つまり目に見えて結果の出た話。

 ―こういう国の旧態依然とした政策はなぜ続いてきたのか。

 選挙対策でやってる面があるので。結局、農業を誰も良くしようと考えていなかった。全国の農業者数も、どんどん減りっぱなし。平均年齢も間もなく65歳。明らかな農業政策の失敗。同じことを続けてきた結果だ。農業を振興するというより、農業政策を通じて票を集めるために、ずっと政官業と農水省族議員などという形で施策が作られた。

 ―国体の簡素化というのもあった。高知県でなし遂げた後、全国ではもとのもくあみ。

 今も国体があるたびに開催県の地方紙から取材がある。同じことを繰り返し言う。いつまでも俺の所に来てもしょうがないだろうと言うけれど。

□改革派知事
 ―国に対して財政問題の提起もした。

 地方に来る補助金は国のひも付き(使い道が限定される)になっていた。基本的に仕組みを改めるべきではないかという議論だった。

 ―地方で予算をもっと自由に、面白いことに使わせてくれと。

 そう。県議会でもそういう答弁をした。もらってるものが100から70になったとしても全てにひもが付き、規制が付いた補助金交付金をもらうよりは、70で自由自在に使った方がはるかにいろんな試みができると。

 小泉純一郎政権下の三位一体改革で、橋本さんたちの「改革派知事」の訴えは、しっぺ返しで打ち消されたようにも見えた。

 少しばかりの税源移譲の代わりに地方予算は一挙に削られた。一方で、その税源移譲は、母子家庭の補助や医療保険の国の負担分のように、自由に使うことができないようなものが渡される状況。自由度が増すことにはつながらなかった。

 ―敗北だったか。

 三位一体改革は国の裏切りで、交付税を削るのはおかしい、強硬手段で立ち向かえないかと全国知事会で議論になった時、当時京都府知事の山田啓二さんが、それは無理だと。

 ―無理?

 憲法92条の地方自治に関する条文を見よと。地方自治の本旨に基づいて法律でこれを定めるとある。法律で決めるということは国会で決めるということだから、国と地方の関係は国が決めるんだということになっている。地方と国の関係を変えるのであれば、憲法を変えなきゃいけないと言われた。

 憲法の裏付けがいると。

 地方自治憲法から変えていくようなことを議論すべきではないか。そう気づいて、目からうろこが落ちた。

 憲法改正の必要があると考えるか。

 あると思う。地方自治のところをきちっと変えていくような議論をすべきだ。それを思えば解釈論でどうにでもなる憲法9条の文言を変えて何の意味があるのかと思う。

 地方分権論は近年あまり聞かない。

 僕の当時、既に各地の知事は役人出身の方が大半を占める状況になっていて、税源移譲がわずかでも進んだのは大きな一歩だという受け止めになり、それで第2期の分権推進という流れになった。その後はそのままどうなったのか分からない状況。

□国と地方の関係
 ―評価は別として、中央官僚出身の知事は増え続けている。「改革派知事」も姿を消した。現在の状況をどう見ているか。

 先祖返りという言い方はできると思う。人口が減ったということもあるだろうが、住民のパワーだとか、思いを伝える力が、全体的に弱ってきたことが先祖返りを生んでいるのでは。ある意味では諦めに通じるもの。

 ―衰退する地方。打破できるリーダーは今後、現れ得るか。

 誰かが奮い立って自分がドンキホーテ的になるか、ドンキホーテをやってくれる人を見つけてその人を周りで支えていくことを諦めずにやるしかない。

 ―国と地方の財政関係からまず考えよと言うのは今も同じ?

 使える予算が70になっても自由に使える方がいいというのは当時も今も同じだ。全国一律の同じ基準という意味で公平に配分していけば、いわゆる金太郎飴(あめ)現象になり、どの地方も同じ駅前、同じ商店街、都市公園になる。競争もなくなる。

 ―橋本時代の「1・5車線道路」というのはユニークだった。

 道路課の職員のアイデアだった。高齢者福祉などの課題解決に、自分たちで事業化を考えようと。その政策に合う補助金がないのなら、国の政策につなげるようにしていこうとする中で出てきた。

 ―傑作だと思う。

 あれはヒット。1車線の道路改良は、道路構造令でセンターライン付きの2車線を造らないといけないが、そんなこと言ってたら財政が厳しい。2車線で完結しないならば、中山間などで、せめて向かいから車が来たときにすれ違えるようにと。それを道路改良として位置づけてほしいという話があって、当時の建設省に持って行ったのが最初。

 ―今は全国でこの道路を造っている。

 当時の役人が鉛筆をなめればできることだったが、高知県の特別な事情で認めるので、県単独事業でやってくださいねとなって、県単で始めた。十何県かが高知の後を追って始めたところで国の事業に挙がり、道路交付金の対象になった。

 ―施策は数々あっても地方の衰退は加速度を増している。

 国が戦後使った地方への補助金は何千兆レベルと思う。それだけの金を使って地方に元気がないということは、国が反省、説明しないといけない。地方の代表者も言っていかないと。今のシステムの方が選挙の支援も楽で、日々の予算の組み方も楽。2~4期とやって辞めていく間に地方は衰退。そうでなくても弱らざるを得ない実情にはなっていると思うが、それに輪を掛けている。

 ―国と地方の関係。どうあるべきか。

 地方が人口も減って、これではいけないとぶすぶす言うのであれば、こういう国に従っていても駄目だと。反乱を起こすわけではないが、やはり違う方向を選ぼうという意識をどこかで持つ必要もある。補助金のシステムでも国から県、市町村に流れる形になっていて、それを受けていれば、それぞれの首長がやってる期間くらいはだらだら時間は過ごせる。それを疑問にも思わないことが結局何の変化も見ないまま、地方が衰退することになってきているのではないか。

 ―橋本時代は経済政策で結果を残せなかった。忸怩(じくじ)たる思いはあるか。

 忸怩たる、というのはない。地理的、時間的には、高知県は相対的には全くよそにかなわない。高知の経済を伸ばせるかと言ったときに、今のような国と地方の仕組みの中では、自分では少なくとも無理だと思った。

 ―闇融資など不祥事を抱え、橋本さん自身が知事として伸び伸びやれなかった、という思いはあるか。

 それもない。それは別問題。それに引っ張られて他の活動、知事会とかで、鈍ったとかできなかったことはなかった。結果的に見てもなかったと思う。

 高知県知事選の投開票が間近。何かメッセージがあれば。

 もし投票に行かないのであれば、高知県の将来がどうなっても文句は言えない。自らの権利を放棄したと思われても仕方ない。だんだん地方がここまで弱っている中で、地域の将来について悩み、考えることがあるならば、まずは少なくとも投票所に足に運ぶことだ。(聞き手=報道部長・石井 研)

 はしもと・だいじろう 約31万7千票の圧倒的な得票で初当選後、4期16年を務めた。官官接待の廃止など全国の先駆けとなる数々の改革を断行。一方で特定の縫製協業組合に対して不正な融資を行った闇融資事件などの不祥事も起きた。兄は故・橋本龍太郎元首相。現在は教育支援グローバル基金理事長を務める。