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夫婦の性別



 庄説
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Round 15 夫婦と姓 庄司vs.論説委員 前編
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同じ名字になれてうれしいよ。

愛する妻がそう言ってくれた庄司智春にとって、これまで「夫婦別姓」の必要性がピンとこなかったのが正直なところだ。

昨年12月にあった最高裁判所の判決では「夫婦は同姓」と定めた民法の規定について「合憲」とされた。
しかし、だからといって「夫婦別姓」に否定的なわけではない。
海外を見てみると
論説委員の谷津憲郎の説明はこうだ。

夫婦別姓といっても、すべての人が結婚して別々の姓にするわけじゃない。

希望すれば、別姓にできるということ。

判決も、選択的夫婦別姓のような制度が必要ならば、国会で議論して決めなさいと言っている。
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だけど、選べるようになっても、一緒にする人のほうが多いんじゃないかなあ、と庄司は思う。

「そうかもしれませんね」と谷津。

でも、海外では夫婦の名字を同じにするよう義務づけている国はほとんどない。
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「そうした人たちを見ていると、家族で名字が違っても違和感がないみたいです。別姓という選択肢が増えるのはいいことじゃないですか」

海外の事例が持ち出されることに、庄司はちょっとひっかかる。

日本は遅れている、と海外に影響されて、日本特有のものを変える必要があるんだろうか。大事だったら残したほうがいいのでは。
昔は日本だって
「日本だって、昔は名字は一緒ではありませんでした」と谷津は歴史をひもとく。

源頼朝の妻は北条政子だった。明治時代より前は、そもそも名字はみんなになかった。
夫婦が同じ名字となったのは明治時代で、それ以降、大半の家族で男性が稼いで、女性は家にいて主婦という形が続いてきた。
しかし、今はそうだろうか。

庄司は共働きだ。稼ぎが多いほうの名字にするならば、妻のほうになる場合もあるぞ。
年間収入で変わるようにしたらどうだろう。

「藤本智春でーす」って名乗ったら、お客さんが「ああ、去年は負けたんだな」「政権交代したんだな」って。笑い、とれるかも。
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自分のこととして考えると、時代が変わっているのもうなずける。

子育てについて話をさせてもらう機会がけっこうあるけど、女性が積極的に働いて、男性が育児に参加するっていう流れを、ひしひしと感じる。

「今も夫婦どちらの姓でもいいんですが、96%は夫。事実上、強制みたいな割合の高さですよね」と谷津。

すごいダサイんだけど
妻の名字にするなんて考えもしなかったが、そうなったらと想像してみても、なんかしっくりこない。
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何でだろう、庄司は考えてみる。

「このたび結婚して、名字が変わりました」

そう告げたら、相手にどう思われるか。なんか気になってしまう。

谷津も応じる。
「正直、男性の側には世間体はあるんじゃないか、と思いますね。夫が妻の名字になるのは少数派ですので……」
明治時代にできた「家制度」では、妻は夫の家に入る形となって、名字を変えることがほとんどだった。
戦後、家制度は廃止され、男女平等の世の中になっても、世間には男性優位の意識が根強く残っているのではないか。

庄司は、正直に打ち明ける。
男って、女の人よりも上の立場でいさせてと思ってしまうところがある。
形だけだとしても。すごいダサイんだけど。

なんだか、自分にこびりついている垢(あか)みたいなものがあるんじゃないか。
そんなことを、庄司は感じてきた。

次回は、18日ごろ配信する予定です。
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論説委員プロフィール
谷津憲郎(やつ・のりお)
 1994年に入社。東京社会部、那覇総局などを経て2015年秋から現職。20年間「おまえの意見なんてどうでもいい。事実をつかめ」と戒められてきたのに、いまや「で、主張すべき論は何?」と問われることに戸惑う44歳。社会部でも「何でも屋」としての遊軍が長く、専門分野を尋ねられるのが苦手です。ただし2回勤務した沖縄は関心事。沖縄国際大ヘリ墜落に走り、仲井真知事の埋め立て承認に嘆息しました。高校生の時、生まれた日には何があったのかと調べたら、翌日の朝刊1面は「沖縄、26年ぶり復帰確定/日米外相が協定に調印」の文字。ふぅ~んと無関心だったあの時の自分に将来を教えてやりたい。